トラック昇降設備義務化の概要

2023年の法改正により、トラックの荷役作業時に必要となる「昇降設備」の設置義務が大幅に拡大されました。
この改正は、物流業界の労働災害のなかでも特に多い 「荷台への昇降時の転落事故」 を防ぐことを目的としており、すべての事業者に安全対策の見直しが求められています。
■ なぜ義務化されたのか?
これまで長年、トラック荷役作業では転落事故が後を絶ちませんでした。
・労働災害の約7割が「荷役作業中」
・そのうち約4割が「荷台の昇り降りで発生」
・5トントラック以上では重大災害の発生率が高い
特に近年は、
・荷台の高床化
・一人作業の増加
・ドライバーの高齢化
などにより、事故リスクは増加傾向にありました。
このような背景を踏まえ、2023年の法改正では、より広い範囲の車両に安全装置の設置を義務付け、安全基準の底上げを図っています。
■ 義務化の対象となる車両
● 旧基準(〜2023年9月まで)
・5トン以上の貨物自動車 が対象
● 新基準(2023年10月1日〜)
・2トン以上5トン未満のトラックにも義務化が拡大
→ これにより、中型クラスのトラックもすべて対象に追加されました。
● さらに注意が必要:2トン未満でも義務が発生
たとえ2トン未満の車両であっても、
作業位置の高さが 1.5m を超える場合、
昇降設備の設置が必要になります。
・高床の軽トラック
・立ち作業で荷台に昇降する頻度が高い車両
・特殊荷台装備の軽貨物
つまり、「車両の区分」だけで判定されるのではなく、
実際の作業高さと荷役環境 が重要になります。
■ 義務化の対象となる昇降設備の種類
昇降設備は大きく「可搬式」と「固定式」に分かれます。
それぞれの特徴を理解して、現場に合った設備を選ぶことが大切です。
1|可搬式(持ち運びタイプ)
● 代表例
・踏み台
・折りたたみステップ
・作業者が持参する簡易ステップなど
● 特徴
・手軽に使用できる
・荷台の高さが毎回変わる現場でも柔軟に対応
・トラックに装着しないため、車両構造をいじる必要がない
● 注意点
・設置が甘いと事故につながる
・車内に積み忘れ・紛失が起こりやすい
2|固定式(車両に取り付けるタイプ)
● 代表例
・車体に組み込まれたステップ
・手すり付き昇降ステップ
・ラッシングレールに固定するタイプ
・折りたたみ格納式ステップ
● 特徴
・いつでも使用できるため安全性が高い
・収納式ステップは邪魔にならず、現場で人気
・手すり付きの大型ステップは高所作業に有効
● メリット
・作業者が常に同じステップを使用できる
・転落リスクが大幅に減少
・装着忘れが起きない
最近は、ラッシングレールの穴にワンタッチで着けられる昇降ステップ が特に注目されており、
安全性・機動性・収納性のバランスがよく、多くの運送会社が採用を進めています。
■ ヘルメット着用義務の拡大
昇降設備の義務化と同時に、ヘルメット着用義務も拡大されました。
● 新基準(2023年10月〜)
・2トン以上のすべてのトラックでヘルメット着用が義務化
● ただし例外あり
バン型・箱型など「車両の四方が囲まれている構造」の場合は、
作業者が落下する危険性が低いため、ヘルメット着用義務の対象外となります。
■ 義務化で特に多い質問
義務化の記事を読むユーザーが知りたいポイントを補足します。
Q1. いつまでに準備すればいいの?
→ 法改正はすでに 2023年10月から施行済み。
既に稼働している車両も含め、早急な対応が推奨されています。
Q2. 違反したらどうなる?
→ 労働基準監督署の指導・改善命令の対象となり、悪質な場合は罰則の可能性もあります。
Q3. 昇降設備はどんな基準で選べばいい?
→ 重要なポイントは以下の3つです。
・安全性(耐荷重・滑り止め・固定方法)
・現場との適合性(荷台高さ・作業頻度・使用人数)
・収納性・耐久性(常設か、取り外し式か)
Q4. どの作業が対象になるの?
荷役作業だけでなく、
・荷台清掃
・荷物の残り確認
・シート掛け
・点検作業
など「荷台に昇降する行為全般」が対象となります。
■ まとめ
2023年10月からの改正により、2トン以上のトラックは基本的に昇降設備の設置が義務化されました。
また、2トン未満の車両でも 作業高さ1.5m以上 であれば同様に昇降設備が必要になります。
昇降設備の設置は
・作業者の安全性向上
・労災リスクの低減
・法令遵守の推進
という重要な役割を果たします。
今後、物流・建設・運送業界では、「昇降設備のある車両が標準」となっていくことは間違いありません。
事業者は自社の車両と作業環境を改めて確認し、適切な昇降設備を導入することで、安全で効率の良い職場環境を実現できます。
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